生態生薬学における太陽病中編 PART7
連日の寒さで、まだコートが手放せない3月の研究会当日。雨が降りそうなあいにくの天気だったのですが。新しい御参加者と、新潟県からお越し頂いた先生方も交え、今月も生態生薬研究会は始まりました!
先月の研究会は新年会を兼ねていた事もあり、柴胡証の説明がちょっと雑になってしまいました、と冒頭切り出す笠井先生。柴胡証はとても重要な部分という事で、前回に引き続いての講義となりました。
「柴胡証とは、どういうものを言うでしょうか。古方派の方々が唱える柴胡証は、胸脇苦満があると言いますよね。胸脇苦満を取るのに代表的な処方といえば小柴胡湯です。小柴胡湯の別名を皆様は知っていますか。三禁湯といいますよね」
基礎の部分をお話し頂いた後、柴胡証の特徴である弦脈。更に弦脈と緊脈の違い等を先ずは解説して頂きました。
中間パートは横隔膜の模型を使いながら、胸脇苦満の見方等をご説明頂きました。
「胸脇苦満とは、どの位の硬さの状態をいうのかと質問がありましたが。
硬さでみるわけではないんです。硬さでいったら太り気味の方と痩せ気味の方といらっしゃるでしょう。そういった場合、平の状態の硬さが分かりません。普段からお付き合いしている方なら分かるかもしれませんが、いきなり店頭に来た方ではその人の硬さは分かりませんよね。ならどうすればいいのか……」
ここから先は、先生の漢方テクニックが惜しみなく語られております。胸脇苦満という状態を見極めたい方は必見です!!
最後は生態生薬学的に観る、実物の植物解説です。今月は山茱萸です。
「観てみて下さい。今、花が咲いています。葉っぱはありますか、ないでしょう。枝から直接、花が咲いていますね。完全に春になっていない寒い時期でも、枝のなかでは代謝が行われている訳です。その代謝熱を発散する為に、花が咲いている訳です。という事は血管の周りが冷たくても、その中の熱を外へ暴き出して発散する力がある。これが生態生薬学的に観る山茱萸の特徴となります」
一通り山茱萸の解説を頂いた後。実際に山茱萸が配合されている六味丸と八味丸のお話を頂きました。
質疑応答の時間もあり、この日ご参加された先生方にはとても有意義な研究会だったのではないでしょうか。生態生薬研究会は毎月第2日曜日で開催中です。分からない事があれば、とても丁寧に説明してくれる笠井先生。漢方を学びたいとお考えの方は、是非とも生態生薬研究会に御参加下さいませ!
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