頭部に現れる症状と適応処方 Part2
今回の研究会は第15回から引き続き「頭部に現れる病症と適応処方」でした。
笠井先生によればあらゆる病症はエネルギー代謝を考えることで説明できます。
最近熱中症を発症する人が多いが、これも基本的には皮膚蒸泄の不調による代謝異常が原因と考えることが出来るのです。
ただ単に水分や電解質の補給をするだけではなく、まず皮膚蒸泄を正常に戻してエネルギーの代謝をスムーズにすることが大切なのです。
お血には駆お血剤と柴胡剤を一緒に使う
お血により血液流動性が乏しく、代謝熱が頭部から除去されない病症。お血の原因のひとつは血液成分のたんぱく質が余分な代謝熱によって変性してくることによるものです。
桂枝茯苓丸、桃核承気湯などの駆お血剤と柴胡剤を一緒に使うと効果的です。つまり三七人参と柴胡剤の併用もとても効果が期待できるのです。さらに店頭でお血を簡単に見分ける方法をお話しされました。
呉茱萸湯とH+
呉茱萸はミカン科の植物ですが、日陰を好みます。どちらかと云えば山椒にちかい。これは末端の熱を代謝する力が強いといえます。
呉茱萸湯は陽明病から少陰病、厥陰病まで使う珍しい処方です。胃のつかえがある時に使い、胃にこもった熱とH+を逃がします。
結果として頭痛にも効きます。生姜が倍量入っているのにはちゃんと理由があります。
寫心湯
寫はカササギが上を向いて悲鳴をあげているのに蓋をしている状態を表しています。熱を発散しようとして出来ない状態なのです。寫のれっか(、、、、)は下半身に陰気があるということです。下半身に水がたまり冷えると、熱はうえに押し上げられてくるのです。その代謝熱が心臓に集まってきているのです。
最後に黄連と黄柏に含まれるベルべリンとミトコンドリアの関係についてまでお話しされ、今回も笠井先生の博覧強記ぶりには改めて驚かされました。
皆勤賞
今回で今年前半の研究会は一区切りです。次回は9月8日を予定しております。
前半6回の研究会を一回も休まず参加された方々には、ユピックスからささやかですが皆勤賞を差し上げました。賞品は「身を削って人の役に立つ」ものです。生態研究会に参加されている方々にまさに相応しいものではないかと秘かに自負しています。
9月からの研究会も内容をより一層充実させて開催致します。皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
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