株式会社ユピックス


【第47回】生態生薬研究会

暑さも落ち着き、ようやく秋を感じる時季となりました。夏から秋への変わり目もあってか。当日は大雨となり、交通にも大きな影響が見られました。それでも多くの方々にご参加を頂き、この日も生態生薬研究会は賑やかに始まりました!


前半の講義は恒例となった生薬解説からです。今回、笠井先生には菊について解説頂きました。

「陽の数字で一番大きいのは9ですね。9が重なる9月9日。陰陽五行説に重点を置いている中国は、陽が重なり強過ぎる9月9日を不吉だと考えました。強過ぎる陽のエネルギーを発散するのが菊なのです」

品種改良の所為か、昔の菊に比べて香りが乏しいと語る笠井先生。香りの乏しさに加え、アブラムシの姿も無い。その様に品種改良された現在の菊を、笠井先生は寂しいと話しておりました。

菊に関しては、この様な説明もありました。

「白板のこの構造を持つ新鮮なラクツカ(レタス)は、折ると乳液が出ます。それがラクツシンという、この構造なのです。ラクツシンはラクトン構造を持っています。これはデコピンの様な構造で、活性酸素や熱を受けると簡単に切り離されます。そのシステムで熱を消費して、キク科の植物は自分の体を守っているのです」

菊から始まり、レタスまで話が広がっていく笠井先生の講義。そして生態生薬研究会ならではの生薬解説が、この後も続きました!


生薬解説の次は先月の続きとなる太陽病下編です。ここでは最初に臓結、結胸について説明を頂きました。

「どちらにも結という字が入っている通り、硬くなっているという事です。風邪を引くの風(ふう)。皮膚が硬くなって塞がれると、体の中に熱がこもって暴れまわる。それを表した字が風であると以前にお話ししたと思います。生きている限り止まらないのは呼吸です。普通なら皮膚(蒸泄)が塞がれると、熱は肺へと回っていきます。肺へ回った熱を捨てようとする反応が咳なのです」

柴胡証の資料を白板に貼り、不定愁訴や血熱についてもお話を頂きました。

そして話題は小陥胸湯に移り、配合されているカラスウリに関して面白い話がありました。

「カラスウリってどんな植物か知っていますか。うちの裏に京王線が走っていまして。今は変わってしまいましたが、その先に都営団地がありました。その団地には、西向きに大きなフェンスがありました。そのフェンス全面に、ツタが建物3階くらいの高さまで広がり伸びていました。何故それに気付いたかと言うと。夏の暑い日の夜、そこを歩くと何か異様な感じがしたんです。なんだろうと思うと。フェンス一面が真っ白だったんです。カラスウリは、夜に花が咲くんですよ。花弁が5枚あり、5枚の先が全部ヒゲになっているんです。花らしい花弁は根元だけで、あとは糸の様になっています。何故こういう風になっているのか、ちゃんとした理由があるんです」

その理由はDVDでご確認下さい!


後半は相談ロールプレイングを行いました。研究会にご参加頂いた方々が実際に抱えている悩みに対して、笠井先生がどの様なアプローチをしているのか。この日は相談役の先生の証について、ご参加の先生方にも考えて頂きました。

「私は、季節の変わり目に体調が悪くなるんです。3週間ほど前に熱が38.6℃になって、節々がとても痛み、咳も随分と出ました。お医者さんにかかったところ。解熱剤と咳止めを頂きました。1週間、薬を飲み続けて何とか症状はなくなりました。ですが、私の体質なのでしょうか。大体こういう時は便秘っぽくなります。咳症状も軽くなるものの2週間ほど咳き込んだり、ガラガラした感じが続きます。そういった事が傾向としてあり、この程度でお医者さんにかかるのも迷う為、ここからはほっといて忘れた頃に治っていきます。この傾向を踏まえて生活習慣とか、どういった事に気をつけるべきなのか。アドバイスを頂ければと思います」

相談内容を聞いて、笠井先生が真っ先に気になった事。それは季節の変わり目に体調が悪くなる点でした。このポイントを軸として、笠井先生は証を診ていきました。ロールプレイングは希望があれば、どなたでも参加可能です。お知り合いの方やご自身に関して体調に悩みを抱えているのならば、笠井先生に相談してみては如何でしょう。

生態生薬研究会は1月と8月以外の毎月、第2の日曜日に開催しております。初めてのご参加でも無理がなく聴講出来る内容となっております。少しでもご興味を持って頂けたのなら是非ご参加下さい!


《関連リンク》
笹塚薬局

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