生態生薬学総集編
2014年も師走となり、今年最後の研究会が12月14に開催されました。今回は生態生薬学の総集編です。寒さが厳しい一日でしたが、多くのご参加を頂けました!
生物のターニングポイント
冒頭は地球環境の成り立ちと生物の歴史についてお話頂きました。
「地球上に酸素が増えて来た時、酸素によってもの凄い量のエネルギーが取り込めるようになりました。同時にそのエネルギーで体がオーバーヒートする危険も出てきました。この出来事が地球上の生き物における非常に大きなターニングポイントになったのです」
と語る笠井先生。そして酸素同様、地球上で当たり前に存在する水についても、こう話を継いでいきました。
「地球は水に恵まれた星である事から、体に水を蓄える事が出来る様に進化しました。生きている限り産生され続ける熱。動物は毛を通じて排熱し、毛を捨てたヒトは体の中の水分に熱を与え皮膚から湯気によって排熱出来る様になりました。この皮膚蒸泄システムを獲得した事が他の動物との決定的な違いなのです」
壮大な生物史を皮切りに熱代謝の重要性、そして生物の進化論を生態生薬学的に解説して頂きました。皮膚蒸泄をキーワードに生態生薬研究会ならではのお話が繰り広げられました!
水仙と椿
そして今回は初の試みとして実物の植物を用いて解説もして頂きました。取り上げたのは水仙と椿。この二つの植物を選んだ理由を、笠井先生はこうお話しています。
「この二つの植物を選んだ理由は単子葉と双子葉の植物であるという事。単子葉植物の進化程度は低く、双子葉植物は進化程度が高い、と一般的に言われています。それは何故か……」
水仙と椿の説明に小・中学校で習った理科の復習を交えて話す笠井先生。復習からスタートし、この二つが冬に花を咲かせる理由や花の色についての解説。更に椿油が何故有用なのかを生態生薬学的に説明して頂きました。本物の水仙と椿を取り上げる事で新たな発見があり、改めて生態生薬学の面白さを感じて頂けたのではないでしょうか。
因みに研究会終了後、ご希望頂いた方々に水仙と椿はお持ち帰り頂きました!
接客ロールプレイング
後半も初企画”接客ロールプレイング”を行いました。笠井先生が実際に店頭でどの様に相談を受けているのか。弊社社員がお客となり、自身の体調について笠井先生に相談しました。何気ない雑談をヒントに処方を決めていく笠井先生。
手を見せてくれませんか。バッグを見せてもらってもいいですか。車の運転頻度はどの位ですか。みぞおち周りは痛いですか。舌の状態はどうですか等々。
ロールプレイングによって先生が何を根拠として処方を決めているのか。多くの雑談からどう処方を導き出しているのか。笠井先生のテクニックの数々を実際に確認する事が出来たのではないでしょうか。皮膚蒸泄の正常化を第一に考え処方を考えていく笠井先生。ポイントとなる場面では皆様ペンが走り、うなずいている姿が印象的でした。
新しい試みが盛り沢山だった第29回生態生薬研究会。そして12月といえばクリスマス!ご参加頂いた方々には福の神を詰め込んだプレゼントをお渡し致しました。福の神は平等に入っております。どう使うかは皆様次第で御座います。
次回の研究会は2月に開催を予定しております。来年最初の研究会は30回目となる記念講演。場所をイタリアンレストランに変え開催予定です。普段とは違う研究会の雰囲気を御期待下さい!
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